オウンドメディアを新規に立ち上げる際、すべてを自社で行うのはリソース的に困難なケースがほとんどです。 外注を活用しつつ、自社で押さえるべきポイントを明確にすることが、立ち上げを成功させる鍵になります。
この記事では、オウンドメディアの立ち上げを3つのフェーズに分け、それぞれの外注方法と費用感を整理します。
立ち上げの3フェーズ
オウンドメディアの立ち上げは、以下の3つのフェーズに分かれます。
| フェーズ | 主な作業 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 戦略設計 | 目的定義、ペルソナ設計、KW戦略 | 1〜2ヶ月 |
| 2. サイト構築 | CMS選定、デザイン、技術実装 | 1〜3ヶ月 |
| 3. コンテンツ制作・運用開始 | 記事制作、公開、運用体制の確立 | 2〜3ヶ月 |
全体で4〜6ヶ月が一般的な立ち上げ期間です。 フェーズごとに外注先を分けることも、1社にまとめることも可能です。
フェーズ1:戦略設計
外注する場合の業務範囲
| 作業項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 事業目標からのKPI設計 | 10〜30万円 |
| ペルソナ・カスタマージャーニーの策定 | 10〜20万円 |
| キーワード戦略の策定 | 10〜30万円 |
| 競合メディアの分析 | 10〜20万円 |
| コンテンツカテゴリ設計 | 5〜15万円 |
合計の目安:30〜100万円
自社で行うべきこと
戦略設計のすべてを外注することは推奨しません。 以下は自社の意思決定として残してください。
- メディアの目的(リード獲得/ブランディング/採用など)の定義
- ターゲット読者の優先順位
- 社内のリソース配分(誰が何を担当するか)
- 成果目標と投資対効果の判断基準
外注先は「自社の意思決定を支援する情報と選択肢の提示」を担い、最終判断は自社で行う体制が望ましいです。
GEO対策を踏まえた戦略設計
GEO対策(LLMO対策・AI検索対策とも呼ばれます)を初期から戦略に組み込む場合、追加で以下の作業が発生します。
- AI検索での競合引用状況の調査
- 構造化コンテンツの設計方針の策定
- AIクローラー対応の要件定義
これらを含める場合、戦略設計の費用は50〜150万円が目安です。
フェーズ2:サイト構築
外注する場合の業務範囲と費用
| 作業項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| CMS選定・導入 | 10〜50万円 |
| デザイン(トップ+記事テンプレート+LP) | 30〜100万円 |
| フロントエンド実装 | 20〜80万円 |
| 構造化データの実装 | 10〜30万円 |
| SEO/GEO対策の技術実装 | 10〜30万円 |
| テスト・公開作業 | 5〜15万円 |
合計の目安:80〜300万円
費用はCMSの選択やデザインの要件によって大きく変わります。
CMS選定のポイント
| CMS | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| WordPress | 情報・プラグインが豊富、運用の自由度が高い | 社内に技術者がいる場合 |
| ヘッドレスCMS(microCMS等) | 表示速度に優れ、構造化データとの相性がよい | GEO対策を重視する場合 |
| HubSpot CMS | MA連携が標準装備 | BtoBでリード管理を一元化したい場合 |
GEO対策を重視する場合、表示速度が速く構造化データの実装が容易なヘッドレスCMSが選ばれるケースが増えています。
構築の発注先
サイト構築の発注先は、大きく3つの選択肢があります。
| 発注先 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| Web制作会社 | 100〜300万円 | デザインと実装を一括で依頼可能 |
| フリーランス | 50〜150万円 | コストを抑えられるが、品質にばらつきがある |
| CMS提供会社 | 30〜100万円 | 導入と初期設定がスムーズ |
フェーズ3:コンテンツ制作・運用開始
初期コンテンツの制作
公開時に最低限必要な記事数は、10〜20本が目安です。 カテゴリごとに2〜3本ずつ配置し、メディアとしての体裁を整えます。
| 作業項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 記事の企画・構成案作成 | 1〜3万円/本 |
| 記事の執筆・校正 | 3〜10万円/本 |
| アイキャッチ画像の制作 | 3,000〜1万円/本 |
| 入稿・公開作業 | 3,000〜5,000円/本 |
初期コンテンツ15本の場合の合計:60〜200万円
運用体制の確立
立ち上げ後の運用体制は、以下のパターンがあります。
| パターン | 月額の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 完全外注 | 30〜100万円 | 記事制作〜公開〜分析を一括委託 |
| 部分外注 | 15〜50万円 | 記事制作のみ外注、戦略・分析は内製 |
| 内製+アドバイザリー | 5〜15万円 | 制作は内製、月次のアドバイスを外注 |
立ち上げ直後は外注比率を高くし、ノウハウが蓄積された段階で内製比率を上げていくアプローチが一般的です。
分離発注と一括発注の比較
| 項目 | 分離発注 | 一括発注 |
|---|---|---|
| 費用 | 個別に最適化できるため、総額を抑えられる可能性あり | 一定のボリュームディスカウントが期待できる |
| 管理コスト | 複数の発注先を管理する手間がかかる | 窓口が1つで管理しやすい |
| 品質の一貫性 | 発注先間で品質がばらつくリスクがある | 一貫した品質管理が可能 |
| 柔軟性 | フェーズごとに最適な発注先を選べる | 途中での切り替えがしにくい |
小規模メディアであれば一括発注のほうが管理しやすく、大規模メディアであれば分離発注で各フェーズの専門性を確保する方法が適しています。
立ち上げの総費用シミュレーション
3つのフェーズを合計した、立ち上げの総費用シミュレーションです。
| 規模 | 戦略設計 | サイト構築 | 初期コンテンツ | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模 | 30〜50万円 | 80〜150万円 | 60〜100万円 | 170〜300万円 |
| 中規模 | 50〜80万円 | 150〜250万円 | 100〜150万円 | 300〜480万円 |
| 大規模 | 80〜150万円 | 200〜300万円 | 150〜200万円 | 430〜650万円 |
これに加え、立ち上げ後の月額運用費用が発生します。
まとめ
オウンドメディアの立ち上げは、戦略設計・サイト構築・コンテンツ制作の3フェーズに分けて外注を検討してください。 総費用は小規模で170〜300万円、大規模で430〜650万円が目安です。
GEO対策を初期から組み込む場合は、構造化データの実装やAIクローラー対応を含めた設計が必要です。 フェーズごとの発注先選定と、立ち上げ後の運用体制の計画を事前に策定しておくことが、長期的な成果につながります。
参考文献
- Content Marketing Institute (2024). B2B Content Marketing Benchmarks, Budgets, and Trends
- HubSpot (2024). State of Marketing Report
- W3Techs (2025). Usage Statistics of Content Management Systems