「BtoB マーケティング 代理店 実績 IT業界」「リスティング広告 運用代行 中小企業向け 費用」——広告代理店を探すユーザーのAI検索クエリには、業種・予算・実績といった複数の条件が含まれます。 AIは代理店のWebサイト、比較サイト、口コミ、業界メディアから情報を収集し、条件に合致する代理店を回答として提示します。
広告代理店は「無形のサービス」を販売しているため、プロダクトのように仕様を比較できません。 代わりに、実績(ケーススタディ)、対応業種、チームの専門性、料金体系といった情報がAIの判断材料になります。
この記事では、広告代理店がAI検索で見つけてもらい、候補として推薦されるための構造化戦略を、海外データとともに解説します。
広告代理店に関連するAI検索データ
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| AI検索CVR(Go Fish Digital) | 従来検索の25倍 | Go Fish Digital, 2025 |
| AI検索トラフィック増加 | +43% | Go Fish Digital, 2025 |
| コンバージョン増加 | +83.33% | Go Fish Digital, 2025 |
| ChatGPT経由CVR(B2B) | 15.9%(Google Organic 1.76%の9倍) | Seer Interactive, 2025 |
| オフサイトメンション相関 | 0.67(最も強い相関因子) | — |
広告代理店のサイトがAI検索で見つからない理由
広告代理店のWebサイトには、AI検索で不利になる特有の問題があります。
サービス内容が抽象的に記述されている。 「デジタルマーケティング支援」「統合マーケティングソリューション」のような表現が多く、具体的に何ができるのかがAIに伝わりません。 「リスティング広告の運用代行」「LP制作」「GA4の分析・レポーティング」のように、サービスを分解して記述する必要があります。
実績がPDFやスライド形式。 ケーススタディがPDFダウンロード形式になっているケースが多く見られます。 AIクローラーはPDFの内容を十分に読み取れないため、HTMLページとして公開された実績のみが引用対象になります。
対応業種が明示されていない。 「IT・SaaS業界のBtoBマーケティング代理店を探している」というユーザーに対して、AIが代理店を推薦するには、対応業種が構造化されている必要があります。 「幅広い業種に対応」という記載だけでは、特定業種のクエリに引用されません。
ProfessionalService schemaの実装
広告代理店のGEO対策の基盤は、ProfessionalService schemaです。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "ProfessionalService",
"name": "デジタルマーケティングエージェンシー Example",
"url": "https://example.com",
"description": "IT・SaaS業界を中心に、リスティング広告運用、SEO、コンテンツマーケティング、MA導入支援を提供。創業以来120社以上の支援実績",
"address": {
"@type": "PostalAddress",
"streetAddress": "渋谷区神宮前6-1-1",
"addressLocality": "渋谷区",
"addressRegion": "東京都",
"postalCode": "150-0001",
"addressCountry": "JP"
},
"areaServed": {
"@type": "Country",
"name": "JP"
},
"knowsAbout": [
"リスティング広告運用",
"SEO対策",
"コンテンツマーケティング",
"マーケティングオートメーション",
"BtoBマーケティング"
],
"hasOfferCatalog": {
"@type": "OfferCatalog",
"name": "サービス一覧",
"itemListElement": [
{
"@type": "OfferCatalog",
"name": "広告運用サービス",
"itemListElement": [
{
"@type": "Offer",
"itemOffered": {
"@type": "Service",
"name": "リスティング広告運用代行",
"description": "Google広告・Yahoo!広告の運用代行。月額広告費30万円から対応"
}
},
{
"@type": "Offer",
"itemOffered": {
"@type": "Service",
"name": "SNS広告運用代行",
"description": "Meta広告・X広告・LinkedIn広告の運用代行"
}
}
]
}
]
},
"slogan": "IT・SaaS企業のデジタルマーケティングパートナー"
}
knowsAboutで専門領域を列挙し、hasOfferCatalogでサービスを具体的に構造化する点が重要です。
「リスティング広告 運用代行」「BtoBマーケティング 代理店」のようなクエリに対応できます。
ケーススタディの構造化
広告代理店の差別化要因は実績です。 ケーススタディをHTMLページとして公開し、構造化データを付与します。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "SaaS企業A社のリード獲得数を6ヶ月で2.3倍にした施策",
"description": "月額広告費200万円のリスティング広告運用で、CPA42%削減・リード獲得数2.3倍を達成した事例",
"author": {
"@type": "Organization",
"name": "デジタルマーケティングエージェンシー Example"
},
"about": {
"@type": "Service",
"name": "リスティング広告運用代行",
"serviceType": "デジタル広告運用"
},
"datePublished": "2025-06-15",
"keywords": ["SaaS", "BtoB", "リスティング広告", "リード獲得", "CPA改善"]
}
ケーススタディの本文では、以下の構成を推奨します。
- 課題(Before): クライアントの業種、規模、当時の課題を具体的な数値で記述
- 施策(Action): 実施した施策を時系列で記述。使用ツール、設定変更の内容を含める
- 成果(After): 期間、KPIの変化を数値で記述
「SaaS企業のリード獲得を改善した代理店」のようなクエリに対して、AIがケーススタディを根拠に自社を推薦するには、業種名、施策内容、成果数値がテキストで明記されている必要があります。
チーム・担当者情報の構造化
広告代理店のE-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)を示す要素として、チームメンバーの情報が重要です。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Person",
"name": "佐藤健一",
"jobTitle": "シニアアカウントマネージャー",
"worksFor": {
"@type": "ProfessionalService",
"name": "デジタルマーケティングエージェンシー Example"
},
"knowsAbout": ["Google広告", "Yahoo!広告", "データフィード広告", "EC広告運用"],
"hasCredential": [
{
"@type": "EducationalOccupationalCredential",
"credentialCategory": "Google広告認定資格(検索広告)"
},
{
"@type": "EducationalOccupationalCredential",
"credentialCategory": "Google アナリティクス認定資格"
}
],
"sameAs": ["https://www.linkedin.com/in/example"]
}
Google広告認定資格、HubSpot認定資格、GA4認定資格などの保有資格をhasCredentialで構造化し、LinkedInプロフィールをsameAsで紐づけます。
AIが「Google広告の認定資格を持つ担当者がいる代理店」のような信頼性に関するクエリに回答する際の材料になります。
業種別ランディングページの設計
広告代理店がAI検索で引用されるための効果的な施策の一つが、業種別のランディングページです。
「IT・SaaS業界向け」「EC・D2C業界向け」「医療・ヘルスケア業界向け」のように、対応業種ごとにページを用意します。 各ページには、その業種での支援実績数、代表的なケーススタディへのリンク、業種特有の課題と対応策を記載します。
これにより、「IT業界に強い広告代理店」「EC向けのリスティング運用会社」のような業種指定クエリに対応できます。
海外事例:HubSpot Agency Partnersの可視化戦略
HubSpotのAgency Partnersプログラムは、パートナー代理店のAI検索可視性を高める仕組みとして参考になります。 2024年時点で全世界に6,700以上のパートナー代理店が登録されており、各代理店には統一フォーマットのプロフィールページが提供されています。
各パートナーのプロフィールには、所在地、対応言語、業種別の専門性(ティア評価)、HubSpot認定資格の保有数、クライアントレビュー(平均評価と件数)が構造化されて掲載されています。 「HubSpot partner agency for SaaS in Tokyo」のようなクエリに対して、AIがパートナーディレクトリから条件に合致する代理店を引用できる設計です。
英国のWPPグループも、傘下のエージェンシー(GroupM、Ogilvy、VMLY&R等)ごとに業種別の実績ページを構造化して公開しています。 2024年度のWPPの年間売上は約149億ポンドですが、各エージェンシーが業種別の専門性を個別に発信することで、「automotive advertising agency UK」のようなニッチなクエリでもAI検索に引用される基盤を整えています。
実装ロードマップ
Week 1-2:サービス情報の棚卸し。 自社サービスを具体的な単位に分解し、対応業種、料金体系(概算)、対応範囲を一覧化します。 AI検索で競合代理店がどのように表示されるかも調査します。
Week 3-4:ProfessionalService schemaの実装。 トップページまたは会社概要ページにProfessionalService schemaを実装します。 サービス一覧をOfferCatalogで構造化します。
Week 5-8:ケーススタディのHTML化と構造化。 PDFのケーススタディをHTMLページに変換し、Article schemaを付与します。 業種、施策内容、成果数値が本文テキストに含まれていることを確認します。
Week 9-10:チーム情報の構造化。 主要メンバーのプロフィールページを整備し、Person schemaで資格・専門分野を構造化します。
Week 11-12:業種別ランディングページの作成。 主要対応業種(3-5業種)のランディングページを作成し、各業種での実績件数と代表的なケーススタディを掲載します。
Month 4以降:効果測定。 AI検索での引用状況を定期的にモニタリングし、引用されている代理店との差分を分析して改善します。
まとめ
広告代理店のGEO対策は、サービスの具体化、実績の構造化、チームの専門性の可視化が3本柱です。 ProfessionalService schemaでサービス内容を、Article schemaでケーススタディを、Person schemaでチーム情報を、それぞれ機械可読にします。
「BtoBマーケティング 代理店 IT業界 実績」のようなクエリに対して、AIが自社を推薦候補に含めるには、対応業種、具体的な施策内容、成果数値がHTMLテキストとして公開されていることが前提です。 PDFやスライドに閉じ込められた実績情報をWebページに展開することが、GEO対策の最初の一歩になります。
参考文献
- Aggarwal, P. et al. (2023). GEO: Generative Engine Optimization. arXiv:2311.09735
- Schema.org. ProfessionalService Type Definition. https://schema.org/ProfessionalService
- Schema.org. Service Type Definition. https://schema.org/Service
- Gao, Y. et al. (2024). Retrieval-Augmented Generation for Large Language Models: A Survey. arXiv:2312.10997
- HubSpot (2024). Solutions Partner Program Directory. https://ecosystem.hubspot.com/marketplace/solutions-partners
- WPP (2024). Annual Report & Accounts 2024